コンピューターと仲良くなる方法

コンピューターと仲良くなる方法

渡邉 響子

こんにちは。アトリエKW 代表の 渡邉響子です。

インターネットにまつわる、いまさら人にきけない話を、ネット初心者の方に向けて紹介しています。

唐突ですが、コンピューターは苦手ですか?
使いこなせたら便利なんだろうなぁということはわかっていても、使い方が難しくて苦手という方。
苦手意識があると、使い方を習ってもなかなか頭に入らないですしね。

今回はそんなあなたのために、もっと手前の話。
コンピューターってこんなヤツということをお話しします。

「あぁ、あの人ってこんな性格よね」ってわかっていると、向き合い方もわかってきますよね。
そんな話です。

こんな方におすすめ
  • コンピューター使えたほうが便利なんだろうけれど、難しい
  • コンピューターなんていらないよ。

頼まれたこと以外しません

コンピューターの一番の特徴は、「頼まれたこと以外しない」ということです。
気を利かせて「これもしましょうか?」は一切ありません。

たまに、「お誕生日おめでとう」と祝ってくれることもあったりしますね。
他にも、「メッセージが届きましたよ」と教えてくれたり、しなければいけないことをリマインダーで教えてくれたり。
いろいろしてくれるいい奴じゃないかと思える場面もありますが、これらもすべてコンピューターが自分で考えて行っている結果ではなくて、すべて頼まれたことをこなしているだけです。

誕生日のお祝いメッセージが出てくるのは、誕生日が来たらお祝いメッセージを出しなさいと誰かが頼んだから。
メッセージが届いたときに知らせるのも、誰かが頼んだから。
リマインダーも、しなければいけないことを入力したら、期日が迫ったら教えなさいと誰かが頼んだから。
全ては頼まれたことでしかありません。

しかし誰が頼んでいるのか?となりますね。これがプログラムです。
プログラムは、コンピューターに事細かにやることを段階を追って書かれた指示書です。
普段私たちは気にもしていないことですが、このプログラムはどこかの誰かによってつくられたものです。
Windows であれば、そのメーカーのマイクロソフトの社員が作ったもの。
Mac や iPhone であればアップルの社員。
ほかにも、プログラムを作っている会社や個人、結局、人が作っています。

コンピューターは、その誰かがつくったプログラムに従って頼まれたことを粛々とこなしているだけです。

怒ったり、喜んだりはしません

コンピューターに感情はありません。
たまに、「何度も何度も同じことさせてごめんねぇ。怒るよね」とコンピューターに言っちゃう方もいますが、遠慮は無用です。コンピューターは怒ったりしません。

逆に、喜びもありません。もしあなたがコンピューターのおかげでお金儲けができたとして、それを一緒に喜んでくれるなんてこともありません。

そういうなんにも感じない人と思うと、逆に気が楽になりませんか?
「こいつになら何を言ってもいい。命令しても怒らないし。扱いやすいやつだ」と。

でもたまに言うこと聞かないときがあるから、怒ってるのかも?ですって?
それは違います。
頼み方が悪くて思った通り動いてくれないだけです。

実はこの「頼み方」を理解することが、コンピューターと仲良くなるための方法なのですが、実はこれがみなさんの一番の壁になるところだと思います。

頼み方を理解する

コンピューターへの頼み方を理解するには、コンピューターがどのように頼みごとを受け取っているかを理解する必要があります。
人間なら、口頭で伝える、文書で伝える、身振り手繰りでなど、そういった方法になりますけれども、コンピューターはプログラムされたこと以外のことでは理解不能です。

でも安心してください。ほかの誰かが、コンピューターに頼みごとをしやすいようにプログラムをすでに作ってくれています。

たとえば、「このボタンが押されたら〇〇の動きをしなさい」や、「『音楽を流して』と音声で命令されたら音楽を流しなさい」などなど・・・
人間がコンピューターに頼み事をしやすいように作られています。

ここで気付いてほしいことがひとつあります。

頼み事をしやすいようにプログラムされてはいるものの、頼まれてもできることとできないことがあるということです。

ですので頼み事をするためのプログラムは、コンピューターができることだけしか準備されていません。

たとえば、Word を開くと画面上部にたくさんのボタンが表示されます。
これらは全部、「この操作はできますよ」というものの集まりです。

Word のツールバー

たまに、「いろいろボタンがあるけど、押したら壊れるんじゃないかと心配」と言われることがありますが、コンピューターが壊れるようなボタンがここに配置されるわけはありません。
人間が使いやすくするためのボタンの集まりです。
むしろガンガン押しまくって、「これを押したらこうなるのか」と理解をしていくことが大事です

人間関係でもそうじゃないですか?
「こんなこと言ったら怒るかなぁ・・・」とか、「言わないと失礼かな・・・」とか、いろいろと距離を測りながら接していきますよね。言ってみなければわからないこともあったり。
繰り返しますが、コンピューターは怒りません。しかも、せっかく「使ってください」と準備してくれているボタン。押さずになにもしないのはもったいない。ガンガン押しましょう。

大丈夫。コンピューターはそれくらいでは壊れません。
あなたが作ろうとしている書類がおかしくなるくらいのことしか起きません。

得意分野は計算と検索

コンピューターには得意なことと苦手なことがあります。
人間も一緒ですよね。得手不得手はあるものです。

コンピューターは、順序だてて計算するのがものすごく得意です。
というか、そのために作られたものですから。得意じゃなかったら何のために存在しているの?ですよね。
ただし頼まれたことしかしませんので、頼まれた以上の計算はできません。

今月の利益はどのくらいあった?などの計算は得意です。
仕入れにかかった費用、人件費、広告費などの費用の合計と、売り上げの合計さえ分かっていればです。
あたりまえですが、その費用と売り上げの内容は、人間がコンピューターに教えてあげなければなりません。
そこがめんどくさいなぁと感じるかもしれません。
けれども帳面に日々つけているものを最後に自分で計算する労力を考えたら、格段に楽になります。

よくわかっていない人の陥りがちなものに、Excel の計算機能を使いこなせていないというものがあります。
Excel は、帳面で計算した結果を、きれいに清書するためのものくらいにしか思っていない人もけっこういらっしゃるようで、せっかく準備されている計算機能を使っていないという話です。

たとえば、品物と単価、数量と金額の合計を計算する単純な表を作るとします。

単純な表計算

せっかくある計算機能を分かっていない人は、合計の欄も、自分で手計算して表に書きこみます。

ちがうんです。ここは計算させることができるんです。

計算式

合計のところは、単価(青)と数量(赤)の掛け算ですので、 = 単価 * 数量 という計算式で求められます。

それを、合計の欄に計算式として入力するだけなんです。
自分で計算する必要はありません。

合計計算

最終的な、一番下の合計に関しても、計算式を使っていて、自分で計算した結果を入力しているわけではありません。
合計を出すためには、SUM という関数が用意されています。指定した範囲をすべて合計してくれるものです。

こんなに便利なものを使わない手はないですね。

そしてもう一つの得意分野は、検索です。
たくさんの書類の中から、例えば「請求書」と書かれた書類をすぐに探し出してくれます。
言葉だけでなく「何年何月に発効した書類」と、発行した日にちなどでも検索することができます。

たくさんの紙に印刷された書類の中から目的の書類を探し出すのはとても時間のかかることです。

仕事に関係なくても、インターネットで知りたいことを検索したらすぐに結果が出てきますよね。
これも、コンピューターが得意としていることの一つ。
便利だとは思いませんか?

推測や戦略を立てることは本当は苦手

意外かもしれませんが、未来のことを予測して戦略を練るということは、本来苦手です。
予測シミュレーションみたいなのがありますね。「災害での被害をコンピューターで予測しました!」というようなもの。
あれは、予測前に必要となる前提条件をあたえて、そのうえでたくさんの計算をすることで予測しています。

災害での被害予測を例にすると、まず被害を受ける都市の状況を細かくインプットしておかなければなりません。
面積、高低差、地殻の状況、河川、そして家屋がどこにどのくらい建てられているかなどなど。
そこへ、地震なら地震の起きる場所、伝わり方など、水害なら雨量、水がはける割合など、細かい条件をインプットしたうえで、たくさんの計算を行い、被害がどのようになるかを予測しているだけです。

アメダスで「降水確率80%です」なんていうのも、推論しているわけではなく、これまで観測してきた空模様から、似た空模様のときにどれくらいの確率で雨が降っていたかを計算しただけのこと。

つまり、人間では多すぎて対応できないくらいの量の計算を一気にすることで予測をしているわけです。
そしてその計算には、最初に前提条件があります。災害の被害予測のような、地形や家屋の数の情報。
この前提条件を誤って入力してしまうと予測結果は全く意味がありません。

やはり頼まれたこと粛々とこなすだけで、推し量ったりはしないのです。
逆に言うと、感情が入らない分、忖度もないですし結果としては、前提条件が間違っていない限り正確無比ということになります。

そして苦手なのが戦略を練ることです。
頼まれたことを粛々とこなすだけですから、自らユニークな発想をすることは本来ありません。

「えぇ?でも将棋や囲碁で人間に勝つコンピューターもあるじゃない?あれは戦略を立ててるからじゃないの?」

鋭いですね。将棋や囲碁は戦略がなければ勝つことができません。
自ら考える力をもったコンピューター AI ( Artificial Intelligence )の登場です。

AI のざっくりとしたしくみ

昨今よくきかれる AI という言葉。
AI が発達したら職を失う人がたくさん出てくるかも・・・などと言われたりしますが、残念ながらそうかもしれません。
もう、この時点でコンピューターとは仲良くなれないっ!となってしまうかもしれませんね。

実際、AI は自分で考え最適な方法を導き出します。自ら学習し、間違ったことをしないようにしていけます。
けれどもそれは、過去に起きた事例をデータとしてインプットし、その事例と照らし合わせて良し悪しを判断しているだけでしかありません。

先ほど出てきた将棋や囲碁の場合、数々の打ち手の情報をインプットしておき、その中から良い手を選んでいるだけです。
「この手が来たらこの手で返す」というたくさんの手がインプットされている中から何通りも振り返り、その中で勝率の最も高いものを計算して導き出しているというものです。

たくさんの事例を判断材料のデータとしてインプットし、その中から最適なものを選ぶ。
そういうプログラムをほどこされたものです。現時点のAIは。

したがって判断材料としてのデータが間違ったものであった場合、間違った判断を下します。
そこで間違いだとコンピューターは気付くことはできません。
ここが人間とコンピューターの違いです。

ターミネーターや マトリックスという映画、皆さんもご存じとは思いますが、ざっくりいうと人類と AI の戦いの話です。
AI は、人類を脅威と考え、人類に攻撃を始めます。
入力したさまざまな判断材料となるデータから、「人類は悪」と判断してしまったわけです。
人類はそのとき AI にどんなデータを入力してしまったのか?と思いますが・・・
「人類は悪」という判断を下すのにも何の躊躇もないわけです。

コンピューターにはまず教えておかなければならなかったですよね。「人間様には逆らうな」と。

それはさておき、正しい判断材料をたくさんインプットされた AI は、とても有効に使えます。
これから先の未来、AI はもっと発展するでしょう。
そのときに、簡単にこなせる仕事は、全部 AI にとってかわられるかもしれません。
けれども人間にしか考えつかない、ユニークな発想を武器にする仕事は AI にはできません。
そこをよく考えておかないといけない時代になったと私は思っています。

あ、少々話が大きくなりすぎました・・・・

断片的に覚えるのではなくいったん俯瞰して見てから覚える

コンピューターの使い方を教えるときにいつも感じるのが、断片的に覚えようとする人がいるということです。
その断片的に覚える人のほとんどは、次に会ったときに同じ質問を繰り返す。要するに覚えていない。
いつも残念な気持ちになります。

せっかく教えてもらったのに忘れてしまうという原因は、操作方法にばかり目がいき、全体の流れを把握できていない、しようとしていないからだと私は感じています。

たとえば、Word で書類を作成するとしましょう。
Word を立ち上げて、新規書類を作成、文章を書いてファイルを保存。
たったこれだけの作業をするためにすることは確かにいろいろあります。

デスクトップ上にある青い「W」の字が書かれているアイコンをダブルクリック。
左にある「新規」と書かれているところをクリック、白紙の文書をクリックし、文書を書き始める。
書き終わったら保存のために、「ファイル」と書かれているところをクリックして、「名前を付けて保存」をクリック。
保存する場所を選んで、ファイル名を付けて保存。

・・・・という感じで、確かにやることとしては間違いはないです。
しかしながらこういう覚え方をしていると忘れやすいですし、ちょっとでも例外にぶつかると対応できなくなります。
最初の「 デスクトップ上にある青い「W」の字が書かれているアイコン 」。
これは、Word のアイコンのことですが、デスクトップに必ずあるというものではないです。
少なくとも私のパソコンのでスプトップにはおいてません。邪魔ですから。
そういうパソコンを触るときに、どうやってWordを立ち上げるのか。もうそこで思考停止になりますよね。

木を見て森を見ず状態です。

それよりももっと俯瞰的に覚えてほしいなぁと私は思っています。

  • Word は、OS の上で動く文書作成アプリケーションの一つ
  • アプリケーションは、アイコンをクリックするか、スタートメニューから探して立ち上げられる
  • 作成したデータはどれも、ファイルに保存される
  • ファイルはツリー状に整理されたディレクトリに保存することができる
  • 新しく書類を作るときは、新しくファイルを作るということ

といった感じで、最初にあらましを理解したうえで、実際に何をしているのかを理解していくと忘れにくいですし、例外にも応用が利くんですよね。

でもこれを説明しようとすると大体、「難しいから使い方だけ教えて!」と言われるんですよね。
そうなると、せっかくの学びの時間が本当に残念な時間になります。
私も適当に教えて終わりにしてしまいます。そしてまた同じことを訊かれます。その繰り返し。

どうかみなさんは、断片的に使い方を覚えるのではなくて、あらましを理解するために俯瞰で見てから覚えるようにしてくださいね。

ちょっと愚痴みたいになってしまいました。失礼しました・・・

まとめ

コンピューターは、頼まれたことを怒りもせずに粛々とこなしてくれます。
仲良くなるには、コンピューターへの頼み方をこちらが覚えてあげることしかありません。
コンピューターがなにができるのか、なにができないのかを俯瞰で見てから細かく頼み方を覚えていく。

あくまでもコンピューターは道具です。
使われるのではなく、使う。
そこを意識しておくと違った見え方になってくるものだと私は思います。


最後まで読んでくださってありがとうございます。

この、「いまさらきけない○○」シリーズは、本当にいまさら人にきけないようなネタでつづっていきます。
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