こんにちは。アトリエKW 代表の 渡邉響子です。
インターネットにまつわる、いまさら人にきけない話を、ネット初心者の方に向けて紹介しています。
今月のはじめ、菅内閣のもとデジタル庁が発足しました。
なるほど、コンピューター・IT関連のことを扱う庁なのだなと、みなさんはすんなり腑に落ちましたか?
私は腑に落ちてないです。
デジタルって・・・・ちゃんと意味わかって使ってますか?と本当は言いたいです。
素直に「情報技術庁」とか「電子化推進庁」とか日本語でもよかったのではないでしょうか?
なんでも英語にしようとして変な意味になって海外の人にはつうじな・・・
おっと、こんな陰口をたたくためにこの記事を書いているわけではありません。
デジタルの話でした。
みなさんが思っている デジタル という言葉の意味は、この記事を読むと おそらく崩れ落ちます。
心の準備はよろしいですか?(大げさな)
- デジタルってコンピューターがらみってことでしょ?それのどこがいけないの?
- 「私はアナログ人間だから」と、コンピューターを使えないときについ言い訳する
コンピューターの中は 0 と 1 しかない
デジタルの言葉の前に、恐るべき事実をお伝えします。
コンピューターの中は 0 と 1 だけで動いています。2という数字はありません。

「そんなわけないじゃん。いつもコンピューターで計算してるけれど、2以上の数字もちゃんと計算してくれるよ」
おっと、そうですね・・・
2から上の数字を使わない世界と言い換えたらいいでしょうか。
0 と 1 だけを使って数を表しているんですよ。
コンピューターは、みなさんもご存じのとおり電子回路です。
電気で動いています。その電気をどのように数字としてあらわすか。昔の人は考えたんでしょうね。
「あぁ!電気が通ってれば1。通ってなければ0でどうかな?」

コンピューターは、ものすごい大雑把な言い方をすると、MOS半導体というスイッチの集まりです。
このスイッチ、電気を通す・通さないを自在にコントロールすることができます。
けれども、「少しだけ電気を通して」や「たくさん通して」は選べません。通す・通さないの2つだけです。
こういった電子回路でできているために、扱える数字が 0 と 1 しかないんです。
ではどのように、2以上の数を表しているのかというと、桁上がりという考え方で克服しています。
人間の場合は、0 から数えていって 9 の次は 10 になって、10の位に 1 が立ちますよね。これ桁上がりって言いますよね。
0 と 1 だけの世界では、 0 → 1 と数えたら、もう数を表す文字がありません。
一つ上の桁を1にして、つまり桁上がりさせて 2 を表しています。
このように 0 と 1 だけで表す数を、2進数 といいます。
この桁をたくさん増やすことで、大きな数を表しています。
- 8桁あると・・・ 0 ~ 255 までの数を表せます。
- 16桁あると・・・ 0 ~ 65,536 までの数を表せます。
この桁一つ一つのことを ビット(bit)と呼びます。
8桁、つまり 8 ビットのことを、1 バイト(byte) と呼びます。
ここで大事なことは、表せる最大数はビット数で決まるということです。
デジタルはとびとび
今までに見ていただいたような2進数を使ってコンピューターは計算を行ったり記録をしたりをしています。
また、その桁数によってあらわせる最大数が決まります。
先ほどもお話ししたとおり、コンピューターは電子回路です。たくさんの桁数を準備しようとすると、それだけ回路の配線が増えます。
コンピューターが誕生してから今日まで、一度に転送できる桁数が、4ビット、8ビット、16ビット、32ビット、64ビットと増えてきました。ですがそれでも桁数は有限です。このために、データがとびとびになってしまうという問題が起きます。
分かりやすい例として、例えば下のような株価変動を 4ビットでトレースしたとします。
株価が赤い線のようになめらかに変動していたとしても、4ビットでは全部で16段階の数値しか持つことができないので、階段状のデータになってしまいます。

この株価の例のような、本来の滑らかな連続したデータのことをアナログデータと呼び、とびとびに階段状になっているデータのことをデジタルデータと呼びます。
ほぉ・・・長かったですね(^^; やっとデジタルとはなにかが出てきました。
このように、デジタルは、本来連続であるはずの情報を、とびとびで表現しています。
上の例は、デジタルがとびとびになることが分かりやすいように、計算に使う桁数を 4 ビットと極端に少なくしています。実際の株価変動の情報を扱うときは、とびとびの階段にならないように、もっとビット数を持たせた状態で計算されます。
この計算に使う桁数により何段階の階段を持てるかが変わってきます。データの階段をどれだけ分解できるかということで分解能と呼びます。
また、分解能が小さいことで本来のデータとの誤差が生じていますね。この誤差のことを量子化誤差と呼びます。
アナログのほうが実際の情報を誤差なく表現できるので、デジタルよりも正しい情報なんです、本当は。
アナログ人間っていう表現は「私はデジタルより正確に扱えますよ」ということなのかもですよ?(そういう意味で使う人はいませんが)
ただ、全てを数値化しているデジタルとちがい、アナログはノイズに弱いです。
たとえばレコード盤のプチプチノイズ。数値ではなくレコード盤の上に掘られた溝に音の情報が記録されています。
ちょっと傷(=ノイズ)が入るとプチプチですよね。
CDは、デジタル。音のデータが数値化されて記録されています。もちろん傷が入ると読み込みができなくなることもあります。ですが、プチプチノイズではないですよね。
それでも聴けるか・聴けないかのどちらかです。
デジタルらしく、白黒はっきりしてますね(^^;
まとめ
デジタルといえば、広い意味でコンピューターなどの電子機器のことを指すこともありますが、本来はとびとびの情報のこと。
コンピューターの中は、 0 と 1 だけで数を表し、その表せる最大値はその桁数で決まってくる。
今度コンピューターに向かうときは、「おまえ、0 と 1 しか知らないの? 2 わかんないの?」
と言ってみてください。
きっと周りの人から変な人と言われると思います(なんのこっちゃ)
では、またお会いしましょう。